奥秩父 残雪期に乾徳山(2,031m)に登る ●●●★★★△△❖❖
乾徳山(2,031m)は、JR中央本線塩山・山梨市間で、北に奥秩父の前衛として、特徴ある山姿を見せる。江戸時代後期の『甲斐国志』に拠れば、鎌倉時代に臨済宗の僧・夢窓疎石が修行したとする伝承を持つ。夢窓は甲斐国においていくつかの寺院を創建しているが、乾徳山から南方の甲州市塩山小屋敷に所在する恵林寺は鎌倉末期の元徳2年(1330年)に夢窓の開いた寺院で、「乾徳山」が山号になっている。乾徳山には国師が座禅をしたといわれる座禅石や髪剃岩、天狗岩などの奇石があり、中腹には同じく国師との関わりを伝える銀晶水、錦晶水などの水飲場があり、山岳信仰にも関係していると考えられている。 山頂からの眺望は素晴らしい。富士山、南アルプス連峰、奥秩父の金峰山から甲武信、飛竜山への主稜、大菩薩嶺等々が望める。(Wikipedia)
行程概要
期日 | 1978年3月23日(木) | ||
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日程 | 前夜発日帰り | 行程 | ? |
メンバー | 単独 | ||
地図 | 乾徳山(国土地理院) | ||
交通費用 | 3,260円(1,860円) | 宿泊費用 | - |
参考資料(バス時間)
下記は当時のMEMOです。こちらが現在の交通機関の情報となります。
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アクセス
●バス:乾徳山(2,031m)MAP
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山行記録
1978年3月23日(木)
天候
晴
コース&タイム
新宿駅(23:55)⇒(中央線普通¥900)⇒塩山駅(2:25, 6:00)⇒(山梨市バス、¥380[荷代¥100])⇒乾徳山登山口バス停(徳和)(6:35)→栃山ノ滝(7:00)→オソバ沢入口(7:10)→小金沢二本松(7:37)→駒止(7:50)→錦晶水(8:25、8:45)→ショウブ沼(8:50)→国師ヶ原(大平小屋)(8:55、9:00)→扇平(月見岩)(9:35、9:45)→大ノ浮橋(10:25)→乾徳山(11:20, 11:25)→扇平(月見岩)(12:15:, 12:40)→林道(13:10)→道満山(13:40, 13:55)→徳和峠(14:20、14:45)→乾徳山登山口(徳和)(15:25、16:55)⇒(山梨市バス、¥380[荷代¥100]))→塩山駅(17:35, 18:36)⇒(急行アルプス5号(¥900[¥500])⇒新宿駅(20:17)
食事
- 昼:持参
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山行日誌
シーズン外での登山の難点は、交通の便の悪いことと、その山に対する心構えをしっつかりしなくてはならないことだ。
新宿駅夜行の最終で真夜中の塩山駅まで行く。風通しの良い駅のベンチに横になって、足をザックに突っ込み、ありきたりのセーターやジャンバーを着て一夜を過ごしたが、明け方の冷え込みで目が覚めた。しかし、寒いのは予想以上だ。朝いちばんのバスに乗るとほっとしたが、ウェイークデーで乗客は自分一人だった。運転手と世間話をしながら北へと向かう。正面に一瞬見えた白い山は国師岳か。これから向かう乾徳山も雪に覆われている。
終点の乾徳山登山口のバス停から、徳和川沿いに林道を進む。ここは、徳和川第一警告と呼ばれていて、遊歩道も設置されている。「栃山ノ滝」の表示を見つけて川に降りたが、さしたる滝ではなかった。ところどころに雪片を見る。オソバ沢入口はすぐ近くで、ここから比較的歩き良い道を辿る。ここらで積雪量0~10cm。上に行くにしたがって雪も多くなり、富士山や南アルプス、大菩薩の山々が見えてくる。銀晶水を経て、やがて錦晶水に着く。屋根だけの小屋が建っている。水は豊富。ここでスパッツを着け、目の周りに炭を塗って雪光から防ぐ。尾根をトラバースし、ショウブ沼の標識を見て、やがて国師ヶ原に出る。展望はすこぶるよく、これから登る乾徳山が樹林に囲まれた上に岩を露出させている。ここらで積雪量15~40cm。
さらに扇平への急登を喘ぐ。キックステップ登行でジグザグに登り詰め、月見岩を見て扇平に着く。ここから乾徳山に向かうのだが、岩に雪氷が着き、無雪期とは比較にならないほど緊張させられる。アイゼンを着けなければ滑るし、着ければ岩に引っ掛かる。岩の登降になるとつぼ足になったが、雪で靴の底が濡れて滑りやすい。一度などは、ルートを間違えて岩の上に出て、降りるに降りれず引き返せなくなり、下のルートまで細引きでザックを降ろし、簡易肩がらみで自分も降りたが、果たして細引きがなかったらどうであったろうか。この稜線の積雪量は0~45cm程度。はしご、鎖を乗り越え、ひげすり岩、雨乞岩、念仏岩などを経て頂上直下の天狗岩(約25m)に出る。鎖をからめて、乾徳山頂上に出ると、広い展望が思いのまま得られる。
富士山、南アルプス連峰、奥秩父の金峰山から甲武信、飛竜山への主稜、大菩薩嶺等々、黒金山の山容も面白い。下を見るときれいに切れ落ちている。しかも、風も強いので早々に退却する。下降も慎重に岩をからんで、再び扇平に出る。岩場でどうも時間を食ってしまったようだ。ここで遅い昼食にして、道満尾根へと歩を進める。
この尾根にはもうトレースの跡がなく、ルートは雪で埋まっていた。しかし、明瞭な尾根なので間違うことはなかった。露岩を巻き、やがて広い節減に出る。ここらは、牧場になっている。急下降の後、林道にぶつかる。それを少し下って、また山道に取り付く。再び急な下降が始まる。左下に太平の家々を見るようになると、道満山との鞍部に着く。なお、このルートの積雪量は0~30cm。一山巻き、ゆるく登り返すと道満山に着く。木々越しに、乾徳山の岩々も望まれる。ここから30分程で徳和峠となる。左は川浦、右は徳和。いずれにしてももうすぐで里に出る。そこで、f金の山々を見ながら一休みすることにする。
徳和へ向かうと、すぐに畑の中を通るようになり、家々の間をぬってもと来た道に戻る。牛乳など飲みながら、乾徳山登山口バス停に向かう。今日は、暖かい春の日ざしを浴びて登ることができた。そういえば、乾徳山の岩場で意外に手間取ったことが思い出される。なお、乾徳山山頂まで1~20番の標識を見たが、距離間隔が一定しておらず、あまりあてにして登らない方が良いように思えた。